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司祭からのメッセージ




天災と人災


                      牧師   司祭 サムエル 小林祐二


 雲の様子も変わりはじめ、朝晩過ごしやすくなってきましたが、まだどこかホッとできないこの秋です。台風15号の猛威は前々任地の館山にも襲いかかり、停電、断水、建物や農作物への被害に心を痛めました。館山聖アンデレ教会のみならず、副園長を務めた聖アンデレ保育園、管理牧師を務めた安房大貫キリスト教会、一時的とはいえ3.11を過ごした南三原聖ルカ教会、鴨川聖フランシス教会も思い起こしました。茂原昇天教会の牧師館にも被害があったとのこと。もちろん教会の建物のことだけではなく、信徒の方々、卒園した子どもたち、街で馴染みになった方々の顔をお一人おひとり思い出しつつ、神様の御守りを祈らずにはいられませんでした。テレビよりもSNSで届く情報の方が深刻に思えましたが、つながり続けていた方々の安否報告に胸をなで下ろしもしました。離れてから8年経つものの、すぐにでも訪れたい気持ちが募りましたが、次第に物資も充足され、ボランティアのニーズは専らブルーシートを張れる技能、チェーンソー、軽トラを持っている人とのことを現地から聞き、今はこの地で与えられた務めを続けるときだと信じて今日も過ごしました。引き続き房州を覚えて祈り働き、必要なこと、できることを探したいと思います。


 先日植木屋さんと立ち話をする機会がありました。台風による倒木の心配や落ち葉の飛散から木を切る方、またスズメバチ駆除の依頼も増えているとのことでした。気候変動をたしかに感じておられるようでした。ここ数年「観測以来の最高気温」というニュースを毎年聞いているような気がしますし、雨の降り方や暑い期間の長さも変わってきているように思います。"天災"が起こるたび、温暖化の影響を確かめるのは私だけでしょうか。SDGs(2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標。2030年を年限とする17の国際目標が掲げられている)にも「気候変動に対する具体的な対策」が盛り込まれていますが、これは気候変動が人為的であると言っているようなものです。"天災"だからとその発生に手をこまねいていたような災害が、実は"人災"の要素を孕んでいたと言えるでしょう。あるいは天からの警告だと言うこともできるのではないでしょうか。

 「12:54イエスはまた群衆にも言われた。「あなたがたは、雲が西に出るのを見るとすぐに、『にわか雨になる』と言う。実際そのとおりになる。55また、南風が吹いているのを見ると、『暑くなる』と言う。事実そうなる。56偽善者よ、このように空や地の模様を見分けることは知っているのに、どうして今の時を見分けることを知らないのか。」
(ルカによる福音書)

 本を読んだり、旅先で人と出会ったり…そんな営みをきっかけに、今まで「自分と関わりがない」「手が届かない」と思っていたことが、実は日常と密接に関わっていたことに気付かされます。傷つきたくない、苦労したくないので知らない間に避けようとしていたことにも気付かされます。明日の空模様に一喜一憂するばかりで、「時を見分ける」ことを遠ざけていたように思うのです。

 かつてある青年は「教会で信仰の話ってしないよねぇ」とつぶやきました。運営や誰かの噂話ばかりでなく、キリストの福音…うれしい話をわかちあいたいものです。喜びはキリスト者の務めを果たす原動力です。それを見いだすまでには”産みの苦しみ”を経るかもしれません。しかしその先には必ず新しい命の脈動、初めて見るような喜びが待っています。そうして、天の国、永遠の命への備えを重ねて参りましょう。